夫を看取って

夫が他界して早や半年が過ぎた、去年1月大腸がんが見つかった時にはもう手遅れの状態で、膀胱にも転移していた。主人は高齢で腫瘍はそのまま残し、ストーマを作る手術を受け退院して1か月は、家で普通に生活し、自転車にも乗っていた。が、3月の終わりの夜中に腹が痛いと訴え、タクシーで病院に行きそのまま入院となった。腹膜炎を起こしていたが、手術はせずに投薬で、様子を見ることになり落ち着いた5月にホスピスに転院した。コロナ禍でもいよいよ死が近づいてからは、毎日の面会が許された。その三日後、私と娘二人に看取られながら、穏やかに眠るように息を引き取った。不思議だったのは、心臓が停止した後に私が主人の、喉仏を触りながらごっくんして、と言うと喉仏が動き、嚥下反射がありました、次も喉仏を触りながらごっくんして、と言うとまた同じ反応がありました。やっぱり、耳は最後まで聞こえるんだなと思い、今までありがとうネと伝えることができました。
親子ほど年の離れた主人と二十歳の時に知り合い、それから43年間一緒に暮らしてきて、大きな衝突は1回だけで、いや2、3回あったかも知れないがお互いに心穏やかに過ごせたと思う。本当に長い間ありがとうございました。